菅義偉首相が就任後、行政サービスのデジタル化を目指すべく「デジタル庁」の創設を発表したことにより運転免許証のデジタル化も現実味を帯びてきました。
加えて2020年9月16日小此木八郎国家公安委員長は運転免許証のデジタル化について2026年度をめどに「免許証とマイナンバーカードとの一体化」をスタートさせることを明らかにしました。
これによりますますマイナンバーカードを利用する機会が増えそうです。
今回はマイナンバーカードと運転免許証が一体化することによるメリットやリスク、一体化までのスケジュールを解説していきます。
もくじ
マイナンバーカードと運転免許証が一体化

現在マイナンバーカードは、以下のような用途で利用できます。
- 身分証明書
- コンビニでの各種証明書の取得
- 行政手続のオンライン申請
最近では、特別定額給付金の申請やマイナポイントキャンペーンで注目を集めました。
このような利用方法があるマイナンバーカードですが、2020年9月23日時点の普及率は20.2%にとどまり、国民の5人に1人しか所有していない状況です。
しかし政府は2022年度中には全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目標にするとしています。

そのためにも現状の普及率の低さを打開するためにマイナンバー制度の普及を促進する1つの方法としてマイナンバーカードを運転免許証として使えるようにするのです。
さらに運転免許証以外でも「各種国家資格証」や外国人に発行される「在留カード」などもマイナンバーカードとの一体化が検討されています。
すでに2021年3月からマイナンバーカードを「健康保険証」として利用できることが決定しており、その事前登録も開始されています。

このように政府はマイナンバーカードの利便性を高め、国民の負担を減らすことで普及率が向上することを目指しています。

マイナンバーカードと運転免許証の一体化によるメリット

運転免許証とマイナンバーカードを一体化することにより、いくつかのメリットが考えられます。
警察当局のメリット
現在、運転免許証の管理システムは47都道府県の警察当局が個別に運用しています。そのためこれらをクラウドで一元化することにより、各都道府県の運用費用を削減することができます。
ドライバーのメリット
私たちドライバーにもメリットがあります。
(1) 運転免許証の発行・更新
運転免許証の発行・更新が全国どこでも行えるようになります。
それにともない免許センターでもマイナンバーカードが発行できるよう調整が進んでいるようです。
将来的には免許更新や更新時の講習がオンラインで可能になるかと思われます。
(2) 住所変更・氏名変更
これまで引越しなどで住所変更した場合マイナンバーカードは自治体で、運転免許証は警察で届出をする必要がありました。
しかし一体化によりマイナンバーカードと運転免許証の両方をそれぞれ手続きする必要がなくなります。
また免許証の住所変更や婚姻や離婚による名字の変更、さらには再発行の手続きがオンラインで可能になるかと思われます。

運転免許証とマイナンバーカードの一体化によるリスク

マイナンバーカードと運転免許証の一体化による一番の心配は「個人情報の漏えい」ではないでしょうか。
マイナンバーカードには個人の情報が入っているため、それらの情報が第三者に見られてしまうのではないのかという不安があると思います。
政府は、このような不安を解消するためにマイナンバーカードの取り扱いについてはそれぞれの機関で必要な情報だけを読取り、そのほかの情報にはアクセスできないようにするとしています。
たとえば警察では運転免許証の情報のみを読取可能にし、病院では加入している健康保険証などの情報のみを読取れるようにします。これにより関係のない他の情報にアクセスすることはできません。
しかし、このような対策をしていても、やはりマイナンバーカードにはさまざまな情報を集約するので便利な反面、リスクを感じます。政府にはどうか個人情報の漏えいがないようにお願いしたいです。
運転免許証とマイナンバーカードの一体化までのスケジュール

現在、運転免許証の管理システムは47都道府県の警察当局がバラバラに運用しているので、これらを一元化する必要があります。
政府は、2020年から2025年にかけて警察の管理システムを共通のクラウドシステムに移行するとしています。
その後に、マイナンバーカードのシステムと一元化した警察の管理システムを連携するので、2026年頃になると見られています。
ただし菅総理が運転免許証とマイナンバーカード一体化の前倒しを発表したため運用開始が早まる可能性があります。
まとめ
今回はマイナンバーカードと運転免許証の一体化について解説しました。
政府は現在20.2%しかないマイナンバーカードの普及率を促進させる方法の1つとしてマイナンバーカードと運転免許証を一体化させます。
一体化することにより免許証の発行や更新、引っ越しなどによる住所変更、氏名の変更がオンラインで可能になるかと思われます。
なお免許証の管理システムを全国で統合するのに時間を要するため、2026年中にマイナンバーカードとの統合をスタートできる見込みとなっています。